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資金調達の相場とは?それぞれのラウンドごとの相場を解説!

投稿日時:2024年12月16日

資金調達は、企業が成長を目指す上で欠かせないステップです。

しかし、資金調達には企業の成長段階や目的に応じた適切な方法を選ぶことが求められます。

この記事では、シード期からシリーズDに至る各ラウンドごとの資金調達の相場や特徴を解説し、成功に必要なポイントをまとめています。

資金調達の基礎から応用まで、ぜひご活用ください。

資金調達ラウンドごとの相場

資金調達は、企業の成長段階に応じてその目的や方法が大きく変わります。

特に、シード期からシリーズDに至る各ラウンドでは、調達する資金の規模や使い道が明確化し、それに応じた調達先や手法が選ばれます。

ここでは、各ラウンドの特徴と相場について詳しく見ていきましょう。

シード

シード期は、企業がまだアイデアやプロトタイプの開発段階にあり、大規模な売上を見込むことが難しい時期です。

このため、資金調達の目的は製品やサービスの基盤構築に集中します。

相場は数百万〜数千万円程度で、多額の資金を必要とする段階ではありません。

調達方法としては、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルによる出資、自治体の制度融資や日本政策金融公庫からの融資が一般的です。

また、クラウドファンディングや助成金・補助金も利用されることが多く、少額ずつ複数の調達先から資金を集めることが特徴です。

この時期には、返済が不要な資金調達方法が特に有効とされています。

成功の鍵は、調達先に将来性を納得させることです。

明確なビジネスビジョンや市場ニーズを提示し、信頼を勝ち取ることが重要です。

シード期は企業の基盤を固める重要な時期であるため、この段階での資金調達がその後の成長を大きく左右します。

アーリー

アーリー期は、製品やサービスを市場に投入し、収益化を目指す段階です。

調達資金は、製品の改良や市場開拓、営業やカスタマーサポート人材の拡充などに充てられます。

相場は数千万円程度とされ、シード期よりもやや高額な資金が求められます。

この段階では、優先株式の発行が効果的です。

投資家に有利な条件を提示しつつ資金を集められます。

また、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルに加え、日本政策金融公庫からの融資も有力な選択肢です。

クラウドファンディングを活用する企業も見られますが、宣伝活動の継続が鍵となるでしょう。

アーリー期では、市場からの信頼を獲得し、収益モデルの実現性を証明する必要があります。

これが成功すれば、次のシリーズAにスムーズに進むための土台を築けます。

シリーズA

シリーズAは、事業拡大に向けた資金調達段階です。

製品やサービスが市場で一定の評価を受けた後、さらなる成長を目指します。

この時期の調達額の相場は数千万〜数億円であり、シードやアーリー期よりも大規模な資金が必要です。

主な調達方法は、ベンチャーキャピタルやコーポレート・ベンチャーキャピタルからの出資です。

日本政策金融公庫からの融資を活用する企業もあります。

優先株式を引き続き発行することで、投資家に魅力的な条件を提供することがポイントです。

この段階では、資金調達の交渉がより重要になるでしょう。

調達金額が増えるため、不利な条件での契約を避けるために慎重な準備が必要です。

シリーズAは、事業を軌道に乗せるための重要な資金源であり、企業の持続的な成長を支える基礎の役割を果たします。

シリーズB

シリーズBは、事業が軌道に乗り始め、大規模な拡大を目指す段階です。

このラウンドでは、調達額の相場は数億円程度に達し、マーケティングや研究開発、人材採用などに重点的に資金が投じられます。

資金調達の手法としては、シリーズAと変わらずベンチャーキャピタルやコーポレート・ベンチャーキャピタルの出資が主流です。

日本政策金融公庫や民間銀行からの融資を利用する企業も増えてきます。

特に、優先株式を効果的に活用することが資金調達の成功に繋がります。

シリーズBでは、企業の信頼性と市場での評価が高まっているため、より大規模な投資家との交渉が可能です。

この段階で適切な資金を確保することで、さらなる成長が実現します。

シリーズC

シリーズCラウンドは、黒字経営が安定し、さらなる成長を目指す段階です。

この時期の調達額の相場は数億円〜数十億円であり、IPO(新規株式公開)や海外展開を視野に入れた資金調達が行われます。

IPOは多くの投資家から資金を集める手段として有効です。

また、ベンチャーキャピタルや民間銀行からの融資に加え、プライベート・エクイティ・ファンドを活用する企業も増えています。

これにより、事業規模拡大や新規市場への進出が可能です。

シリーズCでは、資金調達に加えて企業の社会的信用度が大きく向上します。

この信頼性を活かして、さらに有利な条件での資金調達を目指すことが求められます。

シリーズD

シリーズDラウンドは、安定した収益を基盤に新たな成長を模索する最終段階です。

このラウンドの調達額の相場は数十億円〜であり、新規事業開発や市場拡大、M&A(合併・買収)などに資金が用いられます。

この段階では、IPOやプライベート・エクイティ・ファンドを活用した資金調達が一般的です。

さらに、海外企業やコーポレート・ベンチャーキャピタルからの出資も期待できます。

シリーズDは、企業が安定した基盤を活かし、新たな飛躍を遂げるための資金調達段階です。

この時期の資金調達の成功は、長期的な成長戦略の実現に大きく影響します。

資金調達を成功させるポイント

資金調達を成功させるためには、事前の準備と的確な判断が重要です。

資金を集めるだけではなく、調達の過程で企業としての信頼を確立し、長期的な成長に繋げることが求められます。

ここでは、具体的な対策として「信用の確立」や「事業計画書の準備」など、重要なポイントを解説します。

信用を確立する

資金調達では、信用を築くことが何よりも重要です。

金融機関や投資家は、企業の財務状況だけでなく、経営者の人柄や能力を含む「定性的な評価」にも注目します。

特に、創業間もないスタートアップでは、実績が不足しているため、経営者の信頼性が直接的な評価基準となることが多いです。

例えば、日々の取引や契約の履行において誠実さを示し、事業計画の具体性や説得力を高める努力をしましょう。

また、金融機関や投資家との面談では、企業のビジョンや将来性を的確に伝えることが重要です。

信用を得ることで、融資や出資の可能性が大きく広がります。

具体的な内容の事業計画書を準備する

事業計画書は、資金調達における企業の「顔」となる資料です。

投資家や融資担当者に信頼されるためには、計画書の内容を具体的かつ現実的に仕上げる必要があります。

事業概要や差別化戦略だけでなく、資金調達の具体的な計画やリスク管理についても網羅しましょう。

例えば、中長期的な売上予測やキャッシュフロー計算を含めた財務計画を明示することで、実現可能性をアピールできます。

また、リスクや不確実性への対応策を記載することで、堅実な事業運営の姿勢を示すことも効果的です。

信頼性の高い事業計画書は、資金調達の成功確率を大幅に高めます。

資金内訳は明確にしておく

金融機関や投資家は、資金の使途が明確であることを重視します。

不透明な資金計画では、融資や出資が実現しない可能性が高いです。

そのため、事業計画書に具体的な資金内訳を含め、必要性や妥当性を説明することが重要です。

例えば、半年分の運転資金や新規設備投資の詳細を、見積書や市場調査データを基に提示することで説得力を持たせられます。

資金使途を明確化することで、調達側の信頼を高め、審査のプロセスをスムーズに進められます。

全体的なスケジュールを考える

資金調達を成功させるためには、短期的な調達計画だけでなく、返済計画を含めた全体的なスケジュールを立てることが不可欠です。

例えば、融資実行の時期だけでなく、返済開始や利益回収の見込みを具体的にスケジュール化しましょう。

さらに、助成金や補助金を検討する場合には、申請や審査の期間も考慮する必要があります。

これにより、必要なタイミングで資金が利用できるよう計画を整えることができます。

資金調達におけるタイムラインの明確化は、事業の安定した運営を支える鍵となるでしょう。

調達までの期間を確認する

資金調達に要する期間は手段によって異なります。

例えば、銀行融資では数週間から1ヶ月、日本政策金融公庫の融資では1ヶ月以上を要することが一般的です。

さらに、地方自治体の制度融資の場合、関係機関が複数関与するため、申請から実行までに2〜3ヶ月かかることもあります。

そのため、資金が必要となる時期から逆算して調達計画を立てることが重要です。

資金不足に陥らないよう、調達手段ごとの実行スケジュールを確認し、余裕を持った計画を進めましょう。

専門家に相談する

資金調達の計画が複雑になる場合、専門家のアドバイスを受けるのも有効な手段です。

例えば、中小企業診断士やファイナンシャルプランナー(FP)は、適切な融資や補助金の選択について的確な助言を提供してくれます。

また、行政書士や税理士は、助成金や補助金の申請手続きをスムーズに進めるサポートを行います。

専門家と連携することで、調達プロセスの負担を軽減し、必要な情報やサポートを迅速に得ることが可能です。

迷った場合には積極的に相談を検討しましょう。

資金調達先を選ぶ際は慎重に

資金調達先の選定は、事業の将来に大きな影響を及ぼします。

例えば、銀行融資は低金利で長期的な資金調達に適していますが、審査が厳しい場合があります。

一方、ノンバンクのビジネスローンは審査が比較的緩やかで即日融資が可能ですが、金利が高い点に注意が必要です。

また、投資家やベンチャーキャピタルからの出資では、事業への関与度や求められるリターンが高くなる傾向があります。

企業の現状と調達目的に合致した選択を行うことで、調達後の事業運営を円滑に進められます。

まとめ

資金調達は、企業の成長を支える重要なプロセスです。

各ラウンドに応じた相場を把握し、適切な調達方法を選ぶことで、企業の発展を効率的に進められます。

また、信用の確立や具体的な事業計画の作成、資金内訳の明確化は、資金調達の成功に欠かせません。

さらに、スケジュールを綿密に立て、専門家の助言を活用することで、調達の効率を高めることが可能です。

企業の現状に適した調達先を慎重に選定し、計画的な資金運用を行うことで、持続可能な成長と安定経営を実現できるでしょう。