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資金調達で耳にする直接金融とは?メリット・デメリットも解説!

投稿日時:2024年12月19日

資金調達の方法の1つである「直接金融」は、企業が銀行を介さずに株式や債券を通じて投資家から資金を得る仕組みです。

間接金融とは異なり、返済期限の柔軟性や高額な資金調達が可能である点が特徴です。

一方で、コストや経営権に関するリスクもあるため、企業には慎重な検討が求められます。

この記事では、直接金融の基本概念から具体的なメリット・デメリットまでを解説し、企業が効果的に資金調達を行うためのポイントを明らかにします。

直接金融とは?

直接金融とは、資金を必要とする企業や自治体が、株式や債券を発行することで、投資家から直接資金を調達する仕組みです。

この手法では、銀行のような金融機関を介さずにお金のやり取りが行われるため、間接金融と対比されます。

投資家は、出資に対する見返りとして配当金や利息を得ることができ、企業側は資金を活用して事業の成長や新規プロジェクトに投資します。

直接金融は、資金調達の手段として効率的である一方で、リスク管理や仲介役の存在が重要です。

主な商品として株式と債券がある

直接金融の代表的な商品には株式と債券が挙げられます。

株式は、企業が資金を集めるために発行する有価証券で、購入した投資家は出資者として企業の一部を所有する権利を持つことが可能です。

株主は企業の利益に応じて配当を受け取ることができますが、その収益は企業の業績に大きく依存します。

一方、債券は、企業や自治体が資金調達を目的に発行する借用証書のようなものです。

債券の購入者は債権者として利息を受け取り、満期には元本が返還されます。

これらの商品は、投資家に対し異なるリターンとリスクの特性を提供し、企業側にとっては資金調達の選択肢を広げる手段となっています。

直接金融においての証券会社の役割

直接金融では、証券会社が重要な役割を果たす存在です。

証券会社は、資金を調達したい企業や自治体と投資家をつなぐ仲介役として機能します。

例えば、ある企業が新規事業を展開するために債券を発行する場合、その債券を直接投資家に販売するのは企業にとって大きな負担です。

そこで、証券会社が企業から手数料を受け取り、債券や株式の販売を代行します。

また、証券会社は投資家に対し商品情報を提供したり、リスクについて説明する役割も担います。

このように、証券会社は直接金融の実現をサポートし、スムーズな取引を可能にするために欠かせない存在です。

直接金融のリスク

直接金融には特有のリスクがあります。

最大のリスクは「信用リスク」で、株式や債券を発行した企業が倒産した場合、投資家は元本を全額失う可能性があります。

また、株式投資の場合、企業の業績悪化により配当が支払われないこともあるでしょう。

債券についても、発行体が利息や元本を支払えなくなる可能性がゼロではありません。

さらに、直接金融は「投資は自己責任」という原則に基づいているため、投資家自身がリスクを十分に理解し、適切に判断する必要があります。

このようなリスクを軽減するためには、投資家が情報収集を行い、発行体の財務状況や市場動向を慎重に見極めることが重要です。

直接金融のメリット

直接金融は、資金調達の手段として企業に多くのメリットをもたらします。

銀行融資に比べて返済期限が柔軟であり、長期的な事業計画を立てやすいことが特徴です。

また、株式や債券の発行により、資金調達コストを抑えられる可能性があり、企業の信頼性向上にも貢献します。

さらに、不特定多数の投資家から高額な資金を集められることも直接金融の大きな魅力です。

ここでは、具体的なメリットを詳しく解説します。

返済期限が明確に決められていない

直接金融では、銀行融資のように元本や利息の返済期限が明確に設定されない場合が多く、特に株式の場合、返済義務そのものがありません。

この仕組みは、収益化までに時間がかかる新規事業や研究開発型プロジェクトに適しています。

例えば、株式を発行した場合、投資家は配当金を期待するものの、企業が業績を上げるまで配当が発生しないことも許容されます。

この柔軟性により、企業は短期的な利益確保のプレッシャーから解放され、中長期的な成長戦略に集中することが可能です。

直接金融は、チャレンジングな事業に必要な資金を確保しやすい点が、他の資金調達方法と異なる特徴です。

資金調達コストを抑えやすい

直接金融では、銀行融資に伴う利息支払いや元本返済が不要な場合があるため、資金調達コストを抑えやすい特徴があります。

例えば、株式発行では出資者に配当を支払う仕組みですが、利益が出なければ配当金の支払いも発生しません。

一方、債券発行の場合も、間接金融のような高額の利息負担を回避できる可能性があります。

また、クラウドファンディングの寄付型やリターン型のように元本返済や利息支払いが不要な手段も選択肢として考えられます。

このように、直接金融を活用することで、資金調達の負担を最小限に抑えられることが大きなメリットです。

信用力の向上につながる

直接金融は、企業の信用力を向上させる効果も期待できます。

特に株式を発行し上場する場合、複数の厳格な審査を通過する必要があり、これをクリアすることで市場から信頼を得ることが可能です。

また、上場企業は定期的な情報開示や財務報告が義務付けられているため、透明性の高さがさらに企業の評価を押し上げます。

加えて、信用力の向上は新たな投資家の関心を集めるだけでなく、ビジネスパートナーとの取引条件の改善や、将来的な資金調達の選択肢を広げる効果もあります。

このように、直接金融は企業のブランド価値や信頼性の向上に直結する重要な手段と言えるでしょう。

高額の融資を受けられる

直接金融では、不特定多数の投資家から広く資金を集める公募が可能であるため、銀行融資を大幅に上回る規模の資金を調達できることがあります。

特に株式市場での資金調達は、多額の資金を必要とする大規模なプロジェクトやグローバル展開を目指す企業にとって理想的な手段です。

例えば、IPO(新規株式公開)を通じて、数十億円から数百億円規模の資金調達を実現する企業も少なくありません。

このような大規模な資金調達が可能な点で、直接金融は銀行融資や他の調達手段を補完する重要な位置づけにあります。

直接金融のデメリット

直接金融には多くのメリットがある一方で、特有のデメリットもあることを無視できません。

コスト面や経営の主導権、そして出資停止のリスクなど、企業にとって慎重に検討すべき課題がいくつか挙げられます。

これらの側面を十分理解することで、資金調達手段としての直接金融をより効果的に活用できるようになるでしょう。

ここでは、具体的なデメリットについて解説します。

間接金融以上にコストがかかることもある

直接金融は一見するとコストが低いように感じられますが、必ずしもそうとは限りません。

特に株式を発行する場合、投資家への配当金支払いや株主対応のコストが発生し、これらが銀行融資の利息よりも高額になることがあります。

例えば、事業が順調に進み、利益が大きく出た場合、配当金の支払い額が増加するため、企業にとっての資金流出が大きくなる可能性があります。

また、債券発行においても、発行時の手数料や利率設定によっては間接金融と同程度のコストがかかる場合もあるでしょう。

そのため、資金調達を検討する際には、初期費用や継続的なコストを比較し、企業の財務状況に見合った手段を選択することが重要です。

出資者が発言権を持てる

直接金融を通じて株式を発行した場合、出資者である株主に発言権が与えられます。

特に大口の株主が現れると、経営方針に強く影響を及ぼす可能性があるので注意しなければなりません。

株主総会では、保有する株式の割合に応じて議決権が行使されるため、発行済み株式の半数以上を所有する株主が出た場合、企業の意思決定における支配権を握られる恐れがあります。

さらに、敵対的買収のリスクも考慮しなければなりません。

ある企業が自社株を大量に買い集めることで、経営の主導権を奪うことが可能となるため、防衛策の検討が必要です。

このように、株主への対応やリスクマネジメントは直接金融を利用する上での課題といえます。

出資を停止される可能性がある

直接金融では、株式や債券を通じて資金を調達しますが、投資家の意向次第では出資が突然停止されるリスクも存在します。

たとえば、株主は市場で株式を売却することで簡単に出資を引き上げることが可能です。

また、個人投資家や機関投資家が出資予定をキャンセルするケースも考えられます。

さらに、一定の条件下では株主が企業に株式の買戻しを要求することもあり、企業のキャッシュフローに悪影響を及ぼす可能性があります。

このような事態を避けるためには、出資者との信頼関係の構築や、資金調達後の財務管理を徹底することが重要です。

まとめ

直接金融は、株式や債券を活用して投資家から直接資金を調達する仕組みであり、企業に多くのメリットをもたらします。

返済期限の柔軟性や資金調達コストの抑制、信用力の向上、高額な資金の調達が可能といったメリットがある一方で、コストが増加する可能性や出資者の発言権、出資停止のリスクなどのデメリットも存在します。

メリットとデメリットを慎重に比較し、自社に最適な資金調達方法を選ぶことで、安定した経営と成長を実現できるでしょう。