資金調達のラウンドとは?注意点や資金調達のリスクも解説!

投稿日時:2025年1月6日
資金調達ラウンドとは、企業が成長に必要な資金を外部から調達するためのプロセスであり、企業の発展において欠かせない手段です。
シードからシリーズCまで、各ステージに応じた資金用途や目標があり、これに沿って調達戦略を立てることが大切です。
ただし、資金調達には契約条件の確認や投資家との関係構築など、多くの注意点やリスクが伴います。
この記事では、各ラウンドの特徴や成功のポイント、注意すべきリスクについて詳しく解説しています。
資金調達を計画する際の参考にしてください。
資金調達ラウンドとは

資金調達ラウンドとは、企業が成長過程で必要な資金を外部から調達するための段階的なプロセスのことです。
このプロセスは、事業の発展段階ごとに分かれ、適切なタイミングで必要な資金を集めることを目的としています。
シードからシリーズCまで、それぞれのラウンドには企業の状況や目的に応じた特性があります。
事業計画に沿って資金調達ラウンドを進めることで、企業は成長に必要なリソースを確保し、事業目標を達成するための基盤を整えることが可能です。
シード
シードラウンドは、資金調達の最初のステージで、文字通り「種」を撒く段階を指しています。
この段階では、企業はまだ事業を開始しておらず、アイデアの具体化や商品・サービスの準備が中心です。
シードラウンドの資金は、主に市場調査、ビジネスプランの策定、プロトタイプの開発、会社設立費用などに充てられます。
この段階では、エンジェル投資家や友人・家族などから少額の資金を調達することが一般的であり、投資家にとっては高リスク・高リターンが期待されるフェーズです。
アーリー
アーリーラウンドは、事業を開始して間もない段階です。
この段階の企業は、サービスや商品の提供を開始しているものの、安定的な収益を得るには至っていません。
アーリーラウンドでは、運転資金やマーケティング費用、初期の人材採用費などが主な資金用途です。
また、スタートアップ企業として認知を拡大するために、積極的な宣伝活動が求められる時期でもあります。
ベンチャーキャピタル(VC)からの支援が多くなるのもこの段階の特徴です。
シリーズA
シリーズAは、事業が初期段階を超え、成長軌道に乗り始めた企業が対象となるラウンドです。
この段階では、既存の製品やサービスの市場拡大や新規顧客の獲得を目指した投資が行われます。
資金用途としては、製品改良やマーケティング活動の強化、人材の拡充などが挙げられます。
調達額も数千万円から数億円規模に増加し、投資家にとってはより確実な成長が期待されるフェーズです。
シリーズAは、企業のブランド価値を高める重要なステップでもあります。
シリーズB
シリーズBラウンドは、事業が軌道に乗り、さらなる成長を目指す段階です。
このフェーズでは、企業は市場での地位を確立し、競争力を強化するための大規模な資金が必要です。
調達資金は、事業拡大のための設備投資や広告宣伝、人材採用などに使われます。
また、この段階では、IPO(株式公開)やM&A(合併・買収)を視野に入れた戦略も検討され始めます。
投資家にとっては、エグジットが近づくことでリターンの可能性が高まるフェーズです。
シリーズC
シリーズCは、企業が成熟し、収益が安定している段階を指します。
このラウンドの主な目的は、事業の更なる拡大やグローバル展開です。
調達資金は、大規模なプロジェクトの実施や新規市場への参入に使われることが一般的です。
シリーズCにおける資金調達額は、数億円から数十億円に達することもあり、これによりIPO準備が本格化するケースも少なくありません。
この段階では、企業は成長だけでなく収益性の向上も重視します。
資金調達ラウンドにおける注意点

資金調達ラウンドを成功させるためには、企業の状況や成長ステージに応じた慎重な計画が必要です。
各ラウンドでの適切な意思決定が、事業の発展を大きく左右します。
また、契約条件や出資者選定においても注意すべき点が多く、長期的な視点での計画が求められます。
ここでは、資金調達ラウンドにおける重要な注意点について詳しく見ていきましょう。
事業ステージに適した資金調達を行う
資金調達ラウンドは、事業の成長段階に応じて異なる特徴があります。
シード期では事業の基盤作りが中心であり、少額の資金調達が一般的です。
一方、シリーズA以降では事業拡大に向けて大規模な資金が必要です。
事業ステージに適した資金調達を行うことで、企業は成長に必要なリソースを確保しつつ、無理のない範囲で経営を進められます。
また、ステージに合わない資金調達を行うと、返済負担や経営権の分散などの問題が発生する恐れがあります。
事業の現状を正確に評価し、適切なタイミングでの資金調達を検討することが重要です。
資金調達時の契約や諸条件に気をつける
資金調達が成功したとしても、契約内容や条件に問題があれば、後々トラブルの原因となるでしょう。
例えば、資金提供の代償として経営権を一部手放す必要が生じたり、取締役会に投資家が参加することで経営の自由度が制限されるケースがあります。
また、条件次第では利益配分において創業者に不利な状況が生まれることもあります。
そのため、契約書の内容を十分に確認し、不明点は専門家のアドバイスを受けるなど、慎重に対応しましょう。
複数の投資家から意見を集める
資金調達を進める際には、1人または1団体の投資家だけに依存するのではなく、複数の投資家から意見を集めることが重要です。
複数の投資家と交渉することで、より公平で適正な評価額を得られる可能性が高まります。
また、投資家からのフィードバックを比較することで、事業計画や経営戦略の見直しができる場合もあります。
さらに、投資家の信頼性やバックグラウンドも確認することで、将来的なリスクを回避することが可能です。
特に、反社会的勢力との関わりが疑われる出資者には十分注意が必要です。
ダウンラウンドを避ける
ダウンラウンドとは、前回の資金調達時よりも評価額が下がった状態で資金調達を行うことを指します。
これは、企業の成長が鈍化している、または市場の信頼を失っているとみなされる原因となり、投資家や取引先に悪影響を与えるリスクがあります。
ダウンラウンドを避けるためには、各ラウンドでの適正な評価を得ることが重要です。
無理に高い評価額を追求せず、長期的な事業計画を基に安定した資金調達を進めることが、企業の信用を保ちつつ成長を持続させる秘訣といえるでしょう。
資金調達のリスク

資金調達には、企業の成長を支える大きなメリットがありますが、それと同時にリスクも存在します。
これらのリスクを事前に理解し、適切に対処することで、事業運営をスムーズに進めることが可能です。
特に、VC(ベンチャーキャピタル)からの出資や公的機関からの融資には、それぞれ異なるリスクが伴います。
ここでは、リスクの具体的な内容と対策について詳しく見ていきましょう。
VCなどから出資を受ける場合
VCから出資を受ける際のリスクとして最も注意すべき点は、経営権の一部を手放す可能性があることです。
VCは通常、株式を受け取ることで出資を行い、その見返りとして経営に関与する権利を持ちます。
株式の保有割合が高まると、企業の意思決定がVCの意向に左右されるリスクがあります。
特に、議決権の過半数を確保できない場合、経営の自由度が低下し、迅速な事業展開が妨げられる可能性もあるので注意が必要です。
また、VCのファンドには通常10年程度の償還期限が設定されています。
そのため、満期が近づくと、投資家はエグジット(IPOやM&A)を急ぐ傾向があり、企業の長期戦略に影響を及ぼすかもしれません。
さらに、反社会的勢力や反市場勢力に該当する投資家から出資を受けた場合、上場に支障をきたすリスクも存在します。
契約内容の詳細を確認し、信頼できる投資家を選ぶことが重要です。
公的機関から融資を受ける場合
公的機関からの融資に伴うリスクとして挙げられるのは、まず融資を受けられない可能性です。
公的機関の融資は審査が厳しく、企業の返済能力が重点的に評価されます。
特に、事業開始直後や財務基盤が不十分な場合、審査に通過できず、必要な資金を確保できないリスクが高まります。
また、融資は返済が前提となるため、長期間の返済負担がキャッシュフローを圧迫する可能性が高いです。
たとえば、5年から10年の返済期間が設定される場合でも、事業の進捗が予定通りに進まないと、返済が滞り倒産や自己破産に追い込まれるリスクも否定できません。
さらに、長期の返済計画は経営において柔軟性を欠く要因となる場合があります。
これらのリスクを軽減するためには、融資の前に綿密な返済計画を立て、無理のない金額での資金調達を心がけることが大切です。
また、キャッシュフローの管理を徹底し、返済スケジュールを遵守できる体制を整備することが求められます。
まとめ
資金調達ラウンドは、企業の成長段階に応じた資金の確保を可能にする重要なプロセスです。
シードからシリーズCまで、各ステージでの資金用途や投資家との関係構築が企業の成功を大きく左右します。
また、注意点として事業ステージに適した資金調達や契約条件の確認、リスク回避のための複数投資家の活用が欠かせません。
さらに、VCや公的機関からの資金調達には特有のリスクが伴うため、事前に十分な計画と準備が求められます。
適切な資金調達を行うことで、企業は健全な成長と安定的な経営を実現できるでしょう。