資金調達で耳にするエクイティファイナンスについて徹底解説!

投稿日時:2025年1月13日
企業が事業拡大や成長を目指す際、資金調達は欠かせません。
その中で注目される手法が「エクイティファイナンス」です。
これは株式を発行して資金を得る方法であり、返済義務がなく、財務基盤の強化や将来の成長を支援する投資家との関係構築が可能です。
一方で、経営権の分散や株主対応の負担増加など、慎重な検討を要する課題もあります。
この記事では、エクイティファイナンスの基礎知識からメリット・デメリット、注意点までを詳しく解説し、適切な資金調達の判断に役立つ情報をお届けしますので、ぜひ参考にしてください。
エクイティファイナンスとは

エクイティファイナンスとは、企業が新たな株式を発行して資金を調達する手法のことを指します。
この方法では、企業は「エクイティ(株式資本)」を増やし、返済義務のない資金を確保します。
具体的には、第三者割当増資や株主割当増資、公募増資、転換社債型新株予約権付社債といった手法が採用されることが一般的です。
これにより、企業は貸借対照表上の自己資本を強化できます。
エクイティファイナンスの特筆すべき点は、資金提供者である株主に対し、出資金の返済義務がない点です。
その代わりに、企業は株主へ経営への参画や配当などの形で利益を還元する責任を負います。
この仕組みは、特に成長を目指す企業にとって重要な資金調達手段です。
一方で、出資者の増加は経営権分散を招く可能性があり、経営戦略に影響を及ぼすリスクも伴います。
エクイティファイナンスとデットファイナンスの違い

エクイティファイナンスとデットファイナンスは、企業が資金調達を行う2つの主要な方法ですが、それぞれ異なる特徴と影響を持っています。
エクイティファイナンスでは、新株発行を通じて資金を調達し、調達資金に対する返済義務が発生しません。
これにより、企業は借入金による財務負担を回避しつつ、貸借対照表上の自己資本を増やすことが可能です。
一方で、株主に経営への発言権を与えるため、経営の自由度が制約される場合があります。
対照的に、デットファイナンスは金融機関からの借入や社債発行などを通じて資金を調達する方法です。
この方法では、調達した資金に対して返済期限と利息の支払い義務が発生します。
結果として、貸借対照表上の負債が増加しますが、経営権の分散を避けることができる点が特徴です。
また、返済が滞った場合のリスクを考慮しなければなりません。
これらの違いを理解することで、企業は自社の財務状況や戦略に適した資金調達方法を選択できます。
エクイティファイナンスは成長性を重視する企業に向いており、デットファイナンスは安定性を重視する場合に最適です。
エクイティファイナンスのメリット

エクイティファイナンスには、企業にとって重要な4つのメリットがあります。
この手法は、特に成長を目指す企業にとって有効で、事業の拡大や安定した財務基盤の構築に寄与します。
ここでは、エクイティファイナンスの代表的なメリットを詳しく見ていきましょう。
返済の必要がない
エクイティファイナンスの最大の特徴は、調達した資金に返済義務がない点です。
通常の融資では元本と利息の返済が求められますが、エクイティファイナンスでは株式を発行し、それに対する出資を受けるため、直接的な返済負担がありません。
このため、企業は事業の収益性向上に資金を集中して活用することが可能です。
ただし、株主には配当や株価向上を通じて利益を還元する責任が生じるため、収益の安定化が求められます。
結果として、返済に縛られることなく、自由な事業展開が可能となる点が大きなメリットといえるでしょう。
財務基盤の強化につながる
エクイティファイナンスは、貸借対照表上で自己資本を増加させる効果があり、財務基盤の強化に直結します。
自己資本比率が高まることで、企業はより安定的な経営体制を築くことが可能です。
また、自己資本が充実している企業は、投資家や取引先からの信頼を得やすくなり、新たな事業機会の獲得にもつながります。
さらに、信用力が向上することで、将来的にデットファイナンスを活用する際にも有利な条件で資金を調達できる可能性があります。
財務の安定性を重視する企業にとって、エクイティファイナンスは有力な選択肢となるでしょう。
新たな人脈形成のきっかけになる
エクイティファイナンスによる資金調達では、投資家とのつながりが生まれ、新たな人脈形成の契機となることもあるでしょう。
特に、有力な投資家やベンチャーキャピタルとの関係を築けると、それに伴う取引先や事業パートナーの紹介を受けることが可能です。
これにより、企業は単に資金を調達するだけでなく、事業の成長を支援してくれるネットワークを広げることができます。
新たな人脈は、将来の事業拡大や異業種とのコラボレーションの可能性を広げ、競争力を強化するための重要なリソースです。
赤字状態でも資金調達が可能
エクイティファイナンスでは、企業の財務状況が赤字であっても資金調達できます。
これは、投資家が企業の将来性や成長可能性を重視するためです。
銀行融資では過去の業績が重要視されますが、エクイティファイナンスでは将来の事業計画や市場展望が評価されます。
このため、現在は赤字であっても成長の見込みがあれば資金を調達できます。
特にスタートアップ企業や新規事業を展開する企業にとっては、困難な状況を乗り越えるための重要な手段です。
エクイティファイナンスのデメリット

エクイティファイナンスは多くのメリットを持つ一方で、いくつかのデメリットも存在します。
これらの側面を十分に理解することで、企業はリスクを軽減しながら効果的な資金調達を行うことが可能です。
ここでは、代表的なデメリットについて詳しく見ていきましょう。
経営権を失うリスクが存在する
エクイティファイナンスでは、新株発行により株主数が増えることで経営権が分散し、最終的に失われるリスクが生じます。
特に、新規株主が企業全体の50%超の株式を保有する場合、普通決議を単独で通すことが可能となり、経営者の意向に反する方針が採用される可能性があります。
さらに、株主の保有割合が約66.7%以上になると、特別決議も単独で可決されるようになり、企業の戦略に大きな影響を与えることが懸念されるでしょう。
このため、株式発行時には、慎重な株主構成の計画が必要です。
株主からの信頼が低下する可能性がある
エクイティファイナンスによる資金調達は、株主からの期待が高いため、企業の業績が期待を下回る場合、信頼を失う可能性が高いです。
株主は配当金や株価の上昇を通じた利益還元を求めるため、企業がこれを提供できない場合、不満が蓄積するリスクがあります。
また、新たな株式発行による既存株主の持株比率の低下も、信頼を損ねる要因となり得ます。
これらのリスクを回避するため、事前に株主へ事業計画や成長戦略を丁寧に説明することが重要です。
税制優遇の対象外になる場合がある
エクイティファイナンスによって自己資本が増加すると、企業が中小企業の定義を満たさなくなる場合があり、これに伴い各種税制優遇措置の対象外となる可能性があります。
例えば、法人税率の軽減措置や固定資産税の減免、欠損金の繰越控除などが受けられなくなるケースが挙げられます。
また、資本金が1億円を超えると外形標準課税が適用され、税負担が増加するリスクがあるので注意が必要です。
このため、エクイティファイナンスを検討する際には、税務面の影響も考慮し、慎重な計画が求められます。
エクイティファイナンスの注意点

エクイティファイナンスは、事業拡大や資金調達の有効な手段ですが、いくつかの注意点を認識しておくことが重要です。
ここでは、エクイティファイナンスに伴うリスクや課題について詳しく説明します。
適切に対応することで、これらの問題を最小限に抑えつつ、効果的に活用できるでしょう。
事業運営の自由度が制限される可能性がある
エクイティファイナンスを活用すると、株主の持株比率が増加し、それに伴い意思決定に株主の意見が影響を及ぼします。
特に、重要な経営判断が必要な場合、株主総会での承認が必要となり、迅速な意思決定が難しくなる可能性があります。
さらに、株主が3分の1以上の議決権を持つと、特別決議の否決権を行使できるため、事業計画が滞るリスクも考えなければいけません。
これを避けるためには、持株比率を慎重にコントロールすることが求められます。
株主から配当金を求められることがある
エクイティファイナンスで調達した資金には返済義務はありませんが、株主は利益の還元を期待します。
特に、企業の成長が順調である場合や、長期間配当がない場合、株主から配当金を求めるプレッシャーが強まることがあるかもしれません。
配当金は税引き後の利益から支払われるため、企業にとっては負担となり得ます。
株主との良好な関係を保つためには、事前に成長戦略や配当方針を明確に伝えることが重要です。
中小企業ではエクイティの提供者(投資家)が少ない
中小企業においては、エクイティファイナンスを活用する際に出資者を見つけるのが難しいという課題があります。
これは、投資家が一般的にリスクの高い中小企業への出資を敬遠する傾向があるためです。
その結果、資金調達が計画どおりに進まない可能性があります。
この課題を解決するためには、自社の成長性やビジョンを具体的かつ魅力的に示すピッチ資料を作成し、投資家に対する説得力を高める工夫が求められます。
株主から株式の買い取りを求められるリスクがある
未上場企業の株式は流動性が低いため、株主が現金化を希望した際、企業が買い取りを求められるケースもあるかもしれません。
このような状況が発生すると、企業は予期せぬ資金圧迫を受ける可能性があります。
これを避けるためには、株式譲渡に関する条件や手続きを事前に契約で明確に定めておくことが重要です。
特に、緊急時の対応方法を明確化することで、トラブルを回避しやすいです。
事業売却時にトラブルが発生する可能性がある
エクイティファイナンスによって株主構成が多様化すると、将来的に事業を売却する際に合意形成が難航することがあります。
特に、異なる立場や意見を持つ株主が複数いる場合、売却条件や利益配分を巡って意見が対立する可能性が高まります。
このようなトラブルを防ぐためには、株主間契約を通じて事業売却時の取り決めを明確化し、円滑な合意形成を促進する仕組みを構築することが必要です。
まとめ
エクイティファイナンスは、企業が成長を目指す上で重要な資金調達手段の1つです。
返済の必要がないことや財務基盤の強化、新たな人脈形成の可能性など、多くのメリットを提供します。
しかし、経営権の分散や株主からの期待、税制上の影響など、注意すべきリスクも伴います。
これらを踏まえ、自社の状況や目標に合った資金調達戦略を検討することが不可欠です。
エクイティファイナンスを効果的に活用することで、持続的な成長と競争力の向上が期待できるでしょう。