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資金調達のシリーズとは?ラウンドや注意点についても解説!

投稿日時:2024年12月2日

資金調達のシリーズは、スタートアップ企業や成長を目指す企業にとって欠かせない重要なプロセスです。
各ラウンドには異なる目的や調達額があり、企業の成長ステージに応じた適切な戦略が求められます。
この記事では、資金調達シリーズの基本概念や特徴、各ラウンドのポイントを分かりやすく解説します。
資金調達の知識を深め、事業の成長に役立ててください。

資金調達におけるシリーズやラウンドとは

資金調達における「シリーズ」や「ラウンド」とは、主にスタートアップ企業の成長過程を投資の観点から段階的に分類したものです。
これらの用語は、企業の成長フェーズに応じた資金調達の進捗を示し、投資家にとって重要な指標です。
一般的に、資金調達のラウンドはシード、シリーズA、シリーズB、シリーズC、シリーズDのように進行します。
初期のシードラウンドはアイデア段階の資金調達を意味し、シリーズA以降は顧客基盤の拡大や収益性の確保といった、より具体的な成長目標を追求していくのです。
このように各ラウンドには独自の特徴があり、企業の成長ステージと求める資金の規模が密接に関連しています。
資金調達ラウンドは明確な基準が存在するわけではなく、企業と投資家間の合意によって決定されるため、その内容は事業の状況や交渉内容に応じて柔軟に変化します。

資金調達におけるシリーズやラウンドの特徴

資金調達のシリーズやラウンドは、企業が成長する過程において必要な資金を調達するステップを段階的に示すものです。
これらの段階は「エンジェル」から始まり、「シード」「アーリー」、そして「シリーズA」「シリーズB」と進んでいきます。
各ラウンドでは調達額や資金調達方法、投資家の関与の深さなどが異なり、企業の事業フェーズによって最適な手段が選ばれるのが一般的です。
シリーズの進行とともに、企業は資金をもとに事業拡大や製品開発、マーケティング戦略を強化し、最終的にはIPOやM&Aなどの出口戦略に向けて準備を進めます。

エンジェル

エンジェルラウンドは、創業前後のスタートアップが最初に資金を調達する段階です。
この時期は、事業がまだアイデアや試作段階にあり、明確な実績はありません。
資金調達の規模は通常100万円から1,000万円程度で、自己資金の投入が求められることも多いです。
しかし、有望な事業プランや創業者の能力が評価されると、エンジェル投資家と呼ばれる個人からの資金提供が受けられます。
エンジェル投資家は、多くの場合、起業家や成功した経営者であり、資金提供とともに貴重なアドバイスやネットワークを提供したりします。
エンジェルラウンドは、初期資金を得て事業を形にし始めるための重要なステップです。

シード

シードラウンドは、製品やサービスが形になり始め、テスト版の開発や市場調査が進む段階です。
このフェーズでの資金調達は500万円から5,000万円程度で、事業の方向性がある程度固まってきます。
資金調達方法には、クラウドファンディングやベンチャーキャピタル(VC)からの出資、日本政策金融公庫などの融資が含まれます。
調達した資金は、製品やサービスのプロトタイプ制作、テストマーケティング、人材採用などに使用され、事業の基盤を固めるために重要です。
また、この段階で信頼性の高い投資家を確保することは、後のシリーズAラウンド以降の資金調達にも大きな影響を及ぼします。

アーリー

アーリーラウンドは、企業が製品やサービスを正式にリリースし始め、成長への準備を進める段階です。
調達資金は2,000万円から5,000万円程度に上り、シードラウンドと比較して高額です。
資金調達の選択肢も広がり、個人投資家や地方自治体の支援、信用保証協会からの融資が期待できます。
アーリー期では、事業が本格的に拡大していくため、製品改良や販売チャネルの拡大、マーケティング戦略の強化に資金を使用します。
この段階は、企業にとって成長を軌道に乗せるための基盤を築く重要な時期です。

シリーズA

シリーズAラウンドでは、企業が製品やサービスのリリースを本格化し、収益性を高めるために資金調達を行います。
この段階の調達額は数千万円から数億円に上り、ベンチャーキャピタルや金融機関からの出資が一般的です。
調達した資金は、マーケティングや顧客獲得、ブランド力の強化、さらなる人材確保などに使われます。
企業は、シリーズAの資金を元に売上を拡大し、事業の成功を次の段階へと進めます。
投資家にとっても、事業の成長性が見える段階であるため、魅力的な投資機会となることが多いです。

シリーズB

シリーズBラウンドは、企業が事業を拡大し黒字化を目指す段階です。
この時期の資金調達は数億円規模となり、さらなる製品開発や市場拡大、新しい市場への参入などに使われます。
資金調達先は、VCやCVC、政策投資銀行、メガバンクなど幅広く、事業の将来性を見越した長期的な資金提供が行われます。
このフェーズは、企業が市場でのプレゼンスを高め、競争優位性を築いていく重要なステージです。

シリーズC

シリーズCラウンドでは、企業は収益が安定し、事業基盤を強化する段階に入ります。
調達資金は数十億円に達することもあり、IPOやM&AといったEXIT戦略を視野に入れた活動が始まります。
資金は、事業の多角化や海外展開、新規プロダクトの開発に充てられることが一般的です。
資金調達の方法も多様で、複数の金融機関からのシンジケートローンが活用される場合もあります。
企業は、この段階で事業のさらなる成長と安定を図り、次のステージへと進んでいきます。

シリーズD

シリーズDラウンドは、企業が事業を確立し、IPOやM&Aを見据えた最終段階の資金調達を行う時期です。
資金調達額は十数億円から数十億円規模となることが多く、調達期間もシリーズCに比べて長くなることが多いです。
資金は、IPOに向けた準備、新製品の開発、海外市場への参入などに使われ、企業がより一層の成長を遂げるための資源として活用されます。
シリーズD以降では、大手企業との提携や事業売却によるシナジー効果を狙うケースも見られます。

資金調達を成功させるために重要な2つのポイント

資金調達を成功させるためには、企業は適切な準備と戦略を持つことが大切です。
特にスタートアップや初期成長期の企業にとって、資金調達は容易ではありませんが、効果的な戦略を実行すれば成功確率は向上します。
具体的に重要なポイントとして、「資金調達の目的を明確化すること」と「出資先からの信用を獲得すること」が挙げられます。
これらを意識することで、資金調達の成功へとつなげるための基盤を築けるでしょう。

目的を明確化

資金調達において最も重要なことの1つは、目的を明確化することです。
出資者は資金提供後のリターンを期待するため、企業側が「なぜ資金を必要としているのか」「具体的にどのように使うのか」を明確に説明することが求められます。
具体的な事業計画や資金使用計画を示すことで、出資者の理解と納得を得られ、結果として信頼性が高まります。
また、目的を明確にすることで、調達金額が現実的になり、調達方法や出資先を選びやすいです。
これにより、戦略的かつ効果的な資金調達が可能になるでしょう。

出資先の信用を獲得

出資先からの信用を獲得することも、資金調達成功のための重要な要素です。
出資者は、企業の財務状況や計画書、業績予測を基に信用度を判断します。
特にスタートアップのように実績が限られる企業では、経営者の人間性や誠実さ、熱意が投資の決め手になることも少なくありません。
事業内容や将来の展望を的確に説明する姿勢が、出資者に安心感を与えるのです。
透明性のあるコミュニケーションや信頼できる行動を通じて、出資先からの信用を築くことが、資金調達の成功に直結します。

資金調達の注意点

資金調達は企業の成長を支える重要な活動ですが、そのプロセスには慎重な注意が必要です。
特に、資金調達の計画が甘いと企業の長期的な成長や経営権に悪影響を及ぼす可能性があります。
そこで、資金調達を行う際に考慮すべき主な注意点として「持株比率の維持」と「資金調達スケジュールの余裕」が挙げられます。
これらを適切に管理することで、企業は健全な成長と持続的な経営を維持できるでしょう。

持株比率を減らしすぎないように注意する

資金調達を行う際には、持株比率の低下を防ぐことが重要です。
持株比率を大きく減らしてしまうと、経営権の希薄化が生じ、意思決定に影響を及ぼすリスクがあります。
例えば、持株比率が50%を下回ると、多数株主が普通決議を通して役員の選任や報酬変更、取締役の解任などを実施できます。
この結果、創業者が経営の主導権を失う恐れがあるので注意が必要です。
また、IPOやM&Aの際に創業者の利益が少なくなり、長期的な利益に悪影響を及ぼすこともあるため注意してください。

余裕をもった資金調達のスケジュールを立てる

資金調達のスケジュールは計画的に立てることが大切です。
資金が不足する直前まで資金調達を先送りすると、企業は不利な条件を飲まざるを得なくなる場合があります。
例えば、急な資金不足を補うために高い利息の借入や多くの株式譲渡を受け入れるなど、不利な契約に縛られるリスクが高いです。
資金調達のプロセスは一般的に数ヶ月を要し、準備や調達先を選ぶのにも時間がかかります。
そのため、資金が尽きる半年以上前から準備を始めることで、より有利な条件での資金調達が可能です。

まとめ

資金調達のシリーズは、企業の成長過程に応じた資金調達を効率的に進めるための指標です。
エンジェルからシリーズDまでの各ラウンドは、事業の発展に合わせた資金調達の戦略を示し、それぞれ独自の特徴と目的を持ちます。
成功するためには、資金調達の目的を明確にし、出資先からの信用を得ることが重要です。
また、持株比率の管理やスケジュールの計画にも注意を払う必要があります。
適切な資金調達により、企業は持続的な成長と経営の安定を実現できるでしょう。